ジェイソン ウィリアムス。 デューク大伝説のガード、ジェイ・ウィリアムス。

ジェイソン・ウィリアムス

ジェイソン ウィリアムス

この長いNBAの歴史の中で、人々の記憶に止まり続けるスター選手というのは数えきれない。 そしてその大半はスタッツを見ればそのすごさがある程度伝わるものだが、中には一つ一つのプレーの輝きだけで語り継がれる選手もいる。 その代表的なプレイヤーとして今回挙げさせて頂くのが、 ロックアウト(シーズンが短縮されレギュラーシーズンは計50試合のみだった)のシーズンにNBAデビューし、数々の奇想天外なプレーを生み出した、 Jwillこと、 ジェイソンウィリアムス。 彼はマーシャル大とフロリダ大でプレーした後に、98年のドラフトで一巡目全体7位でサクラメントキングスより指名される。 その一年目、レギュラーシーズン50試合全てにスターターとして出場と早くもチームの柱として活躍した彼だったが、ルーキーながらチームをコントロール出来る司令塔の能力よりもまず何より目立っていたのが、彼の持つ類い稀なるパススキルだった。 基本的にはバスケットボールにおいてパスとして使用されるのは、胸の前から一直線に突き出すチェストパス、肩から放り投げるショルダーパス、頭上からディフェンスの頭を越すように渡すオーバーヘッドパス。 この辺りがベースとなるが、ジェイソンウィリアムスは、背面から投げるパス、頭の後ろ、身体の真横、などありとあらゆるスタイルでボールを供給していったのである。 どの位置でボールを保持していようが、隙を見つけたらその時の体勢などは関係なくそこから瞬時にパスを捌く。 そんな彼が展開するゲームは、見る者をとことん魅了し、一気にサクラメントキングスをリーグで最もエキサイティングなチームに変貌させてしまったのだ。 丁度彼のデビューと同時にウィザーズから移籍して来たNBAでも既にスーパースターとして認知されていたクリスウェバーの存在も大きかった。 まるでソニックス時代のペイトン&ケンプを彷彿させるワンツーパンチでリーグに旋風を巻き起こした。 更に単純に優れたパッサーというのは当時もリーグには溢れていたが、人々は彼をかつて魔法使いと称されたピストル ピートマラビッチの再来と讃えた。 またある者はNBA最高のポイントガードマジックジョンソンのパスと彼のパスを比較した。 恐らくジェイソンがそれだけの評価を受けるパッサーになったのは、一部の天才しかクリエイト出来ないパススキルを持っていたからであろう。 それは、かつてマジックやマラビッチも備えていた、 マークされている選手をモーション一つでノーマークにしてしまう能力である。 ジェイソンのハイライトを見れば分かると思うが、彼はフリーになりきっていない味方選手に一度ボールを渡す素振りを見せるフェイクを絡め、それによりそのマークマンの動きを止めつつ、味方選手の動きに合わせて再度フリーでボールを受け取れる位置にボールを捌く、という天性のスキルを持っていた。 広いビジョンを確保し、フリーとなった選手にすぐさまボールを渡せるガードは優秀である。 しかしジェイソンのように自らのモーションで見方をフリーに出来る選手というのはなかなか存在しない。 それこそ前述したマジックやマラビッチ、そしてジェイソン・キッドなどごく僅かの一流ポイントガードのみが備えた能力であった。 ジェイソンはその動きに加え、どのタイミングでも、どの体勢からでもパスを出せる能力を持っていたため、味方でさえもボールを見失ったり、いつボールが飛んで来るか分からないとヒヤヒヤさせてしまう程のプレイヤーであった。 そんな彼のプレースタイルを人々はクレイジーと称した。 そして、ジェイソンは何とその「クレイジー」を日本語に直訳した「気違い」という文字のタトゥーを右腕に入れ、2000年に東京ドームで行われたジャパンゲームの際、それは放送出来ないとテープで隠すよう指示されたというエピソードがある程中身もクレイジーであった(笑) (こちらはマジック時代の画像だが、右前腕に注目) 実は彼自身大学時代に大麻を使用しチームを追放され、その後2000年にはNBAの薬物追放プログラムへの参加を拒否し、シーズン最初の五試合を出場停止とされる処分を受けていた。 プレーもさることながら私生活でもクレイジーさを露呈していたジェイソンだが、彼はその存在によりNBA、そしてバスケにおいての常識をくつがえすプレースタイルを生み出したパイオニアとして人気を博したのである。 パスに関しては既に説明した通りだが、ガードの基本となるドリブルはとても高い。 通常ドリブルは低くつくものというのが定説だったが、ジェイソンのドリブルはとても高く一見スキが多いように見受けられた。 【スポンサーリンク】 更にガードは冷静にゲームを組み立てなければならない、しっかりボールをキープしてセットオフェンスからゲームを展開していくのが仕事であるはずが、自分がフリーとみるやいなやボールをフロントコートに運んだ瞬間3ポイントを放つなどチームの流れを無視したかのようなプレーも時折見せていた。 そんな彼のプレーはバスケットボールをよく知るものからすれば、決して模範的とは言い難いプレーだったかもしれない。 しかしそんなジェイソンのプレーは多くのバスケファンにとってとても新鮮に映ったものだろう、もちろんこの私も例外ではない。 ドリブルはむしろ高い方がリズムをつかみやすい、いきなり3を打つというのももし決まれば一気に流れを引き寄せる事も出来るなど彼のプレーから学んだ事は多いのは事実だ。 そして何より彼のプレーは見ていて とてもワクワクした。 純粋に彼程プレーを目で追っていてワクワクするプレイヤーというのはNBAで他にいたかと問われると本当に思いつかないのである。 そして、白人でありながらまるで黒人のストリートボールスタイルを取り入れたようなトリッキーなプレーを連発していた彼につけられたニックネームは、 ホワイトチョコレート、 外見は白人だが中身は黒人そのものという表現だ。 彼はスタッツだけを見ればそこそこ活躍した一プレイヤーとしか認知されないかもしれない、オールスターには一度も選出されていないし、オールルーキー1stチームには選ばれたが他に目立つ個人賞もほぼ取っていない、唯一輝かしいキャリアとして2006年ヒートに所属しウェイドやシャックと共にNBAチャンピオンとなった事ぐらいだ(プレイオフでは全試合スターターを務めたので純粋にすごい事ではあるが。 ) しかし、人々の記憶に残る輝かしいプレーを披露したと言う意味では、彼程インパクトのあった選手はいないかもしれない、後にグリズリーズへトレードされ若干プレースタイルに変化は見られたものの彼に流れるショーマンとしての血は引退するまで健在だった。 今でも多くのNBAファンがかつてのジェイソンウィリアムスの展開したようなゲームを見たいと望んでいるはずだ。 しかしそれがいかに特別なものだったか、ジェイソンが引退して改めて皆実感していると思う。 2000年オールスタールーキーチャレンジでは、二年目チームのPGとしてプレーしたが、後半にリーフラフレンツに出したパスはもはや語り草となっている。 左手でビハインドザバックと見せかけて、右腕の肘に当てて逆方向にパスを出した、NBAで培われたスキルとストリート仕込みのクリエイティビティーが融合したスタイルがそこに存在した。 NBAでは、もう二度と現れないであろうオンリー1のスター選手がたまに頭角を現すが、このジェイソンウィリアムスがその代表格である事は疑いようのない事実である。 それではこの記事の締めとして、伝説の魔術師、ジェイソンウィリアムスの奇想天外なプレー動画を片っ端から貼らせて頂こうと思う。 NBA StreetシリーズのVol. 1 アンクルブレーカーズでの特集動画。 ジェイソンの私生活の様子。 NBAを引退した今でもホワイトチョコレートは健在。

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デューク大伝説のガード、ジェイ・ウィリアムス。

ジェイソン ウィリアムス

2 シーズン目を終了した時点で、ウィリアムスの評価は総体的に芳しいものではなかったが、本人はそれを特別気にする事もなかった。 確かにターンオーバーは多い。 そして何よりチームはこの 2 シーズンで想定以上の成功を得ることが出来た。 ルーキーシーズンこそロックアウトの余波を受け短縮スケジュールで 27 勝 23 敗となったが、翌 1999-2000 シーズンは 44 勝 38 敗。 長らく低迷を続けてきたチームにとっては強豪チームの目安となる 『 50 勝到達』を目前に控え、このメンバーでのチーム作りは成功と言えた。 そしてウィリアムスの在籍した 2 シーズンともプレイオフに進出。 運悪くファーストラウンドで強豪チームと当たった事もいい意味で言い訳に出来た。 『ここまでの 2 シーズンは準備運動のようなもので、ここからチームとして今までにない成績をあげられる。 』 という期待の声も少なくはなく、そんな期待を背に 3 シーズン目を迎える事になったのだが、結果は想定通りかそれ以上の勝敗数で、全 30 チーム中 2 位となる 57 勝 25 敗というレギュラーシーズン 50 勝オーバーの大台に乗せた。 前シーズンの成績やスタッツから講じた策の多くが的中した結果である。 2000-01 シーズンを迎えるにあたって、キングスは前シーズンまでに弱点となった 2 つの大きな対応策を講じた。 ひとつは 『ディフェンス』である。 これにはシーズン開幕前に小柄な PG だがディフェンスの良い ボビー・ジャクソンと、当時リーグを代表するディフェンダーだった ダグ・クリスティを獲得した。 ウィリアムスと同身長( 185cm )で大きいとは言えないボビー・ジャクソンだったが、ハンドチェックがうまく、相手の横の動きに大して抜群の読みが出来るプレーヤーだったという点では今の クリス・ポールに近い。 そしてダグ・クリスティ。 オールディフェンシブファーストチームに 1 回、セカンドチームに 3 回選出されるほどに卓越したディフェンスセンスの持ち主で、相手エースとマッチアップし封じ込めるエースキラーとしての役割を着実にこなせるという点では アンドレ・イグダラのようなプレーヤーである。 こんな二人が期待通りの活躍をしキングスの躍進を支えたのだから、ウィリアムスの出番が多くなる事は望めない。 更にこの二人はディフェンス以外でもウィリアムスの出番をさらに縮めることになる能力を遺憾なく発揮した。 ボビー・ジャクソンはターンオーバーを含むミスが少ないだけでなく、『ここ 1 本』という局面においてしっかりとしたゲームメイクの出来るポイントガードだった。 そしてもうひとりのダグ・クリスティは、ボールハンドリングやパスセンスに非凡な才能を持ち、シュートタッチも良く、思い切りの良い 3 ポイントシュートも打てるばかりではなく状況に応じてポイントガードを務める事も出来た。 チームが、主にディフェンスに対してのテコ入れのつもりで獲得した二人は他の分野でも活躍し、勝ち星という最高の成果をチームにもたらした。 そんなチームの好調とは裏腹に、ここ 2 シーズンをポイントガードとして支えたウィリアムスのプレーイングタイムは一定量減少。 ファーストラウンドを突破したもののセカンドラウンドでまたしてもレイカーズと当たった挙句スイープされた時に、ウィリアムスの気持ちは 『今のチームでこのような役割を担に続ける限り、自分の望む自分にはなり得ない。 』という方向に気持ちが傾き、遂にチームを設立して 6 年目のメンフィス・グリズリーズへの移籍を決断する。 しかし、メンフィス・グリズリーズでの最初の 2 シーズンはキングス入団初年度よりも苦戦が続いた。 キングスのオフェンスの中心となっていたのは元ドラフト 1 位でキングス入団時に 6 シーズンを NBA で過ごしていた クリス・ウェバーと、レイカーズで黄金期を担いキングス入団時には 10 年目のベテランとなっていた ブラデ・ディバッツだったのに対し、グリズリーズのオフェンスの核とされたのは当時まだルーキーだった パウ・ガソルと シェーン・バティエだった。 チームを作り上げていくことだけでなく、この二人がNBAプレーヤーとしてこの環境に慣れていくこともチームの浮沈に関わっていたので、その為の敗戦も受け入れなければならなかった。 1995 年の創立以降、ディビジョン最下位をさまよい続けたドアマットチームは、ウィリアムス加入後の 2 シーズンもガソルとバティエの成長を待つ形で、それまでと同じような成績でプレイオフ進出すら望めない弱小チームであり続けたのだが、そんな中でウィリアムスは、ストリートボールスタイルのパスやドリブルを極力控え、安定感のあるプレーとチームの勝利を目指した。 その結果、ウィリアムスのターンオーバーの主な原因である 『バッドパス』は 144 本から 117 本と目に見えて減り、次の原因となった 『ロストボール』も 51 本から 34 本へと減少させた。 そして、ガソルとバティエが NBA プレーヤーとして 3 シーズン目となる 2003-04 シーズンには、 2 人と同じように成長したウィリアムスが活躍をする事となる。 レギュラーシーズンを 50 勝 32 敗とし、フランチャイズ史上初のプレイオフへ進出することになったのである。 キングス在籍時と同じように 3 年間を要したが、プレーヤー個人として短所とされていたターンオーバーをなくしボール無駄にする傾向を改善するように努めたグリズリーズの 3 年間の方が、ウィリアムスには価値があり思い入れも深いものであった。 しかし、ここからプレイオフ初進出のチームが勝ち上がれるほど NBA は簡単ではなかった。 またも強豪チームのひとつである サンアントニオ・スパーズに立ち塞がられる形となり、スイープで早々とプレイオフから姿を消してしまう。 努力が報われなかったという訳でもなかったが、少なくともウィリアムスにとっては 『やるべきことをやったのになぜ・・・』『何が足りないのだ・・・』という気持ちが生まれ、それは翌 2004-05 シーズンもウィリアムスを悩ませた。 8 となり、プレーヤー個人としては以前とは比べるべくもないほど上方改善が見られた。 チームはレギュラーシーズンを 48 勝 34 敗とし、 2 年連続でプレイオフに進出。 しかしここでも当時ダントーニの指揮下、強豪となっていた フェニックス・サンズにスイープを喫してしまう。 ストリートボールのスタイルで名を挙げたキングス時代。 新たな可能性を夢見て新興チームに移籍し、自身の短所を消すために最大の長所であるストリートスタイルも封印し、チームに貢献したグリズリーズ時代。 それでも勝ち上がる事の出来ない事実と向き合いながら、キャリアの中盤を迎えた自分に対しての更なる可能性を考えると、このままグリズリーズに居続ける事はウィリアムスにとって賢明な判断ではなかった。 ウィリアムスはこのシーズンオフに当時リーグ史上最大のトレードといわれた 5 チーム合計 13 名の関わるトレードの中のひとりとして マイアミ・ヒートに移籍を決意する。 続く NBAグッズ、全30チーム、50,000点以上取扱い! NBAグッズ バスケショップ通販専門店はこちらから!.

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トレーダーのメンタルエッジ (ウィザードブックシリーズ)

ジェイソン ウィリアムス

最強のトレード資産はあなたの性格! 偉大なトレーダーたちの心の中を詳しく調べて分かったこと! 自分の性格に合う方法を見つけ、感情を制御しながら賢くトレードする方法 トレードには堅実な戦略と正確なマーケット指標が欠かせない。 しかし、この2つがいざというときにうまく機能するかどうかは、その時点におけるあなたの心の状態で決まる。 つまり、不利な状況で最高のトレードシステムが砂上の楼閣のごとく崩壊するかどうかは、あなた次第なのである。 本書は、このような失敗をしないためにあなたの感情起伏を理解し、その知識が最も必要なときに活用できるようにするためのツールを提供する。 これこそがトレードで長期的な成功を収めるためのカギとなる。 これまで、トレードに活用できる精神的なエッジについて実践的で詳細な手法を紹介した本はなかった。 本書の内容は、今日最も利益を上げているトレーダーたちの心の中を詳しく調べたデータに基づいている。 本書は、人間の思考と感情と行動の不変な関係を紹介し、次の点を明らかにしていく。 あなたにはシステムトレードと裁量トレードのどちらに向いているのかを見極める方法 リスクを恐れる原因を理解することでそれを克服する方法 1日の初めにトレードに対する生来の不安を静める方法 利益率を上げるための「ツール」として楽観主義を利用する方法 すべてのトレードについて仕掛ける理由を毎回慎重に考えることができる方法 本書は、あなたのトレードを改善するための総合的なツールとなるであろう。 ここには自分の性格を知って、その特性を伸ばし、自分を支配する感情を知り、それに適した行動をとることでトレード成績を上げるための方法が書かれている。 ジェイソン・ウィリアムズ、医師 Jason Williams, MD ジョンズ・ホプキンス大学で訓練を受けた精神科医。 下位専門分野として心身医学の研修も受けており、世界的に有名な人格検査NEO PI-Rについては共同開発者のひとりから実施方法と分析方法を直接学んだ。 バージニア州北部在住で、精神科の入院患者と外来患者の両方を診療している。 顧客のなかには、良い精神状態を保つことで資産の運用効率を最大にしたい富裕層も含まれている。 ラリー・ウィリアムズ Larry Williams フルタイムのトレーダー兼ファンドマネジャーで、世界中の主要な投資会議で講演を行っている。 現在は、商品トレードの顧問会社の業界団体である全米先物協会の理事を務めている。 株式やトレードに関する7冊の著書があり、『ラリー・ウィリアムズの短期売買法【改定第2版】』『ラリー・ウィリアムズの「インサイダー情報」で儲ける方法』『ラリー・ウィリアムズの株式必勝法』 いずれもパンローリング の書籍、DVDは日本でも発売されている。 ウィリアムズ,ジェイソン ジョンズ・ホプキンス大学で訓練を受けた精神科医。 自分の性格にあったトレーディング手法をしないと、その手法を執行することはできない。 これは経験があると思う。 いくら頭でわかっていても、決して執行できない。 「チャートに従うことさえできれば」 というのは、「さえ」ではない。 むしろそこが本質なんだと思う。 むしろ、自分が従うことができる手法は何か、ということを主軸に、トレード手法を築かないといけないと思った。 私はNが高くて、どうしてもリスクが取れない、そこに問題があるのだが、 じゃあどうやったらリスクが取れるか、を考えさせられた。 エントリーするときの不安や恐怖、微妙な調整をうけたときの苦痛、手仕舞って不安から逃れたいという強烈な衝動! これを御するにはどうすればいいか。 そこを基本軸に、トレード手法を構築しなきゃいけないと思った。 そして、不安から逃れては決して結果はでないだろうとも書いてある。 不安をいかに「利用」するか、どうすれば不安と「直面」できるか、ということである。 アメリカの精神医学は即物的、ディメンジョナルな心理評価は好きじゃないんですが、、、。 それでもこの本は、トレードというものが、いかに個人の性格と不可分に結びついてるか、よくわからせてくれる。 ラリー・ウィリアムズの息子さんでジョンズ・ホプキンス大学で訓練を受けた精神科医のジェイソン・ウィリアムズが書いた本です。 成功したトレーダーは、何らかの方法で自分の中の様々な性格に適合することを学び、その健全な適応力によってトレードにおける感情の問題を克服できるようになった人達だそうです。 大事なことは、自分の特性についてどれだけ認識しているか、自分の特性がもたらす弱さについてどれだけ注意を払っているか、自分の特性に適応するためにどれほどの経験を積んでいるか、自分の強みを最大限に活かし、弱みを最小限に抑えることができるかだそうです。 その人の弱点は、特にストレスやプレッシャーのかかる困難な状況で現れてくる(トレードで損や大きなドローダウンに遭遇した時など)そうです。 自分の弱点をよく理解し、それが自分の生活に及ぼす影響を経験しながら上手く適応して生活を改善できるよう努力するしかないそうです。 自分の性格に合ったやりやすい方法、自分の強みを生かせる方法、自分の弱点の影響を小さくするトレード手法などを見つけることがトレードで成功する上で重要らしいです。 自分の性格とトレード手法を一致させることが重要だそうです。 そうでない場合には、勝てない戦いに挑むようなことで、自分との戦いであり、自分の性格との戦いとなり、その状態で良いトレード成績を出すのは相当に困難なことのようです。 本の中で何度も強調されいる成功しているトレーダーの共通点は、N1不安とN6傷つきやすさが-1偏差の外に出るくらい低い方が良いということでした。 不安を恐れず、やられても傷つくことはない、心が折れることはない能力がトレーでの成功には必須ということのようです。 裁量トレーダーは全体的にOの項目が高い方が良いようです。 実際にNEO-ACテストを受ける機会があったのでチェックしてみました。 より離れている性格特性ほど、より強くその人の個性を表すとのことでした。 テストでは30項目に及ぶファセット(その人の性格の特徴)が出てきますが、リストしたのは著者のジェイソン・ウィリアムズが特にトレードでの成功に関連するとした以下の項目だけです。 結果を本書に照らして分類すると以下のようになりました。 システム売買の人は売買ルールを守るのが苦しいらしい。 開発したばかりのシステムですぐにそこそこの枚数でいきなり開始してしまう傾向あり。 ちょっと危険。 もしE5の刺激希少性とN5の衝動性の両方が高い場合にはより困難だそうです。 ) O4 行為 -2偏差の外(高いとリスクを恐れないらしい。 この本でジェイソン・ウィリアムズはトレーダーなら高い方が良いと書いていますが、単調な手順を飽きずに繰り返すことができるのはシステムトレーダーにとっては強みになるような気もします。 実際どうなんでしょう?) C1 コンピテンス -1偏差の外(自分に自信がない。 アンガーの章でアンガーも自分の相場判断に自信がないからシステム売買をしているとの解説がありました。 成功したトレーダーは平均値だそうで、あまり自信家ではないようでした。 本書でもマーケットに対する敬意の大切さが強調されていました) C2 秩序 -2偏差の外(システム売買の人は売買ルールを守るのが苦しいらしいです。 しかし裁量トレードする人にはC2の低さは必須らしいです。 ) 普通 N1 不安 平均範囲内(裁量でもシステムでも成功しているトレーダーは低い人が多いらしい) N6 傷つきやすさ 平均範囲内(裁量でもシステムでも成功しているトレーダーは低い人が多いらしい) E6 楽観さ 平均範囲内 O2 審美性 平均範囲内(裁量で成功しているトレーダーは高い人が多いようです。 チャートを上手く読み取ることができるそうです) 心理学者でも精神科医でもない私の勝手な主観で考察してみると、 私はもっと、成功するトレーダーの大条件とされているN1不安とN6傷つきやすさを平均以下に下げる努力をしないと、ドローダウン最中に心が折れてしまう。 流行りのマインドフルネスをやってみるとか、運動に励んだりするのが良いか? N5衝動性が高いのでシステムトレードをすることで、その弱点を緩和できているように思いました。 E5刺激希少性が低く、トレードでギャンブルしそうにないのはとりあえず良かった。 一群のO全体が高めなのは特に裁量トレーダーには有利らしい、本には書かれていませんでしたがシステムのデザインと開発にも向いていると思いました。 C2がかなり低いのはシステムトレーダーとして売買ルールに従うのには苦痛らしい。 インタビューされた裁量トレーダーはC2の低い人ばかりだった。 実はシステムトレードより裁量トレードのほうが向いているのだろうか?と考え込んでしまいました。 ストレスが強くなると、強い感情に流され自分の性格の弱点が出てくるので、日々リラックスするようにしたり気分転換をするようにしたほうが良い。 結果を見ると、実はシステムよりも裁量が向いていたのではと思う部分もありました(Oの高さとC2の低さ)。 しかし衝動性がやや高いので、私には裁量はどうかな?とも思いました。 株を買うか売るかの分析結果が出た直後に時を待たずすぐに仕掛けたいと思うようになるかもしれないと思いました。 実際、デザインしたシステムが完成した直後に、すぐに本玉を建てたくなります。 いつもです。 このテストは性格特性のせいか、分析能力や数理的能力の評価はありませんでした。 もっとも、人類史上最高レベルの天才で古典物理学の父であるニュートンが、自分の心に負けて南海会社の株で大損したことを考えると、知性の重要さは私たちが思うほどではないのかもしれません。 ------------ 本の巻末に、父親のラリー・ウィリアムズ、ダン・ザンガー、KD・アングル、リンダ・ラシュキ、アンドレア・アンガー、ラルフ・ビンス、スコット・ラムジーらの性格特性が出ていたので比較してみました。 面白かったのは、ラリーがO全般が高く非常に視覚的な人で、チャートを見て売買アイデアをシステム化することは得意なのに、衝動性が高く自分で作ったそのシステムに従えないと告白していることでした。 またラリーのC6慎重さが-2偏差の外で不注意なミスばかりしていると言っていたことが微笑ましく、今まで以上にラリーが好きになってしまいました。 リンダは典型的なO全般が高くC2が低い裁量トレーダーでした。 ラムジーもC2が低い人でした。 本に出てきた成功したトレーダーは、確かにN1不安とN6傷つきやすさが低い人たちでした。 蛇足ですが、「マーケットの魔術師」でマイケル・マーカスが「ロシア人達はトレードが上手い」と言っていたのを思い出し妙に納得してしまいました。 もしかしたらN1とN6が低めな人が多いのかもしれません。 世界初の有人宇宙飛行を成し遂げたのはソ連のガガーリンでした。 当時の話を本で読むと凄まじい危険を伴うものです。 前半部分は一般的な人間の性格に関する解説と、性格検査の説明が続く。 「受けたこともない性格検査の説明をされても実感がわかないな〜」と思って読み進めて いくと、多くのトレーダーの性格検査の結果などが紹介される。 そこからが俄然面白くなる。 「第14章 神経症傾向とトレード」では、素晴らしい トレーダーであっても、期待したほど沈着冷静ではないとか、感情が安定している タイプでもないといったことが紹介されている。 また、トレードに関する不安に対処する方法なども解説されている。 ここから 「第21章 依存しすぎるトレーダー」までが本書の肝と言えるだろう。 特に第14章と 第15章は時間をかけてじっくりと読みたいところだ。 自分に合ったトレードスタイルの確立には非常に役に立つ本であると思われる。 個人的には第14章を読むだけでも本書を買った価値はあったと評価している。 個人的には 可能であれば、この性格検査を是非受けてみたい。 本書は、5因子モデルを元にした性格検査の1つであるNEO-PI-R(NEO-AC)を使い、どの様な性格特性がどういうトレード(裁量、システム、長期、短期等)に向いているか、勝っているトレーダー、負けているトレーダーに多い特性は何か、どうすれば自分の性格特性をトレード用に改善できるか等が書いてあり、既存のメンタル本とは違う切り口で、とても勉強になります。 「自分の性格に合った手法でトレードする」は、投資本によく書いてあることですが、その手法設計に大いに役立つ本です。 できればNEO-PI-R検査を受けて、下記の各性格特性の点数を把握してから本書を読むべきですが、残念ながら日本語オンラインで気軽に受検するのは難しそうです。 (ただ、トレードに関する自分の性格を把握していれば、本書を読むのに支障はないと思います。 ) 本書はトレードだけでなく、人生全般に役立つ知識を得ることができるので、オススメ度は5点満点です。 ・性格特性の種類 N:神経症傾向 (N1不安、N2敵意、N3抑うつ、N4自意識、N5衝動性、N6傷つきやすさ) E:外向性 (E1温かさ、E2群居性、E3断行性、E4活動性、E5刺激希求性、E6よい感情) O:開放性 (O1空想、O2審美性、O3感情、O4行為、O5アイディア、O6価値) A:調和性 (A1信頼、A2実直さ、A3利他性、A4応諾、A5慎み深さ、A6優しさ) C:誠実性 (C1コンピテンス、C2秩序、C3良心性、C4追求、C5自己鍛錬、C6慎重さ).

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