春季 限定 いちご タルト 事件。 〈小市民〉シリーズ

米澤穂信『春期限定いちごタルト事件』感想/自分を隠そうとしても隠しきることはできない!?

春季 限定 いちご タルト 事件

For your eyes only しかしこの小説の真の主人公は小鳩常悟朗ではなく、高校生にして小学生のような小柄で小動物チックで甘いものが大好きな、一見いかにも人畜無害に見える女の子、小佐内ゆきなのだった。 第一章は人物紹介で、ここから本当の物語、短編の縦糸と横糸が紡ぎ出すひとつのの幕開けとなる。 春季限定いちごタルトが楽しみすぎて「タルトー」と不思議な歌を歌う小佐内さんのかわいらしさと、静かに熾火のようにくすぶり続ける復讐心のギャップに萌える。 それにしてもこのラスト!!! この本の紹介文には「コメディ・タッチのライトなミステリ」というけれど、いやいや全然そんなことないよ。 甘い糖衣に包まれた猛毒。 もしくは、ぼたもちに仕込まれた縫い針。 そんな類の凶器なんだよねこのシリーズは。 美術部に残された2枚の絵の謎を解く。 良かれと思って知恵を働かせてしまったせいで、謎の答えがもっと残酷な真実を解き明かしてしまう。 人が殺されるわけでもなんでもないのだけれど、人が心のなかで微かに持っていた期待や希望を、それがまったくの無意味だと知らしめることの残酷さのほうが、一般的に人がなかなか死なない現実に暮らしている自分たちにとっては、より深く刺さるのだった。 はらふくるるわざ 最終章への幕開け。 はらふくるるわざとはの、「おぼしきこと言はぬは腹ふくるるわざ」つまり「悩みや言いたいことを言わずにいると、腹にたまって良くないよね」という言い回しからなのだけど、そのタイトル通りに、小鳩くんも小佐内さんも、思ったことを言わないままにストーリーが展開していく。 小鳩くんは小佐内さんに頼まれもせずに悩み事を解決し(解決?)、小佐内さんも小鳩くんには本心を明かさないまま復讐の炎を心に灯す。 しかしやはりこうやって読み返していくと、特に小佐内さんは小市民になりたいとも思っていないようなんだよなあ。 小鳩くんがいうからまあ付き合っているだけで、実際のところの本心は別のところにある……? というような期待をもたせながらシリーズは進んでいくのだけど。 孤狼の心 この本を締めくくりにふさわしい、青くて、痛くて、穴があったら入りたくなるような展開に身悶えた。 まるでのようになってまで機嫌を取ろうとしても空回り。 小佐内さんのことを本心から心配して、自分の古傷までも健吾にさらけ出して協力してもらったのに、全てが手遅れ。 小鳩くんの助けもなしに、ひとりでミッションを遂行してしまう小佐内さんの底知れなさに、読者は震えることになるだろう。 のいいところは、小鳩くんの一人称視点なのにも関わらず、その本心までは明かさないところなんだよね。 そこを明確に意識に上らせてしまってはダメだという自制心があるから、人の思考には必ずしも思ったことが全部は現れない。 しかしそれでも端々に現れる感情の機微に、心を動かされてしまうのだ。 エピローグ しかし最後まで読んでも小佐内さんが本当に「小市民」になりたがっているのか、本当のところが分からない。 我慢してもやっちゃうのなら、最初からやらないほうがいいんじゃない? と、彼女は説く。 だけど小鳩くんは「諦めずにじっとやっていこう」と答える。 それに対して小佐内さんは「うん」と頷いて、その瞳には不動の意志が見て取れる、と小鳩くんは感じるのだけど、小鳩くんが感じたことが真実でないということはの基本でもある。 どうせうまく行かないのなら、この関係はいつまでも永く続く、と小鳩さんが思っているとしたら……? みたいなことを考えながら読んだ。 めちゃくちゃおもしろかった。 しかしこれ、映像化はやっぱりまず無理だよね。 に比べても毒が強すぎるし、絵面が地味すぎる。 当時連載されていたコミカライズも続かなかったしなあ(個人的には好きだったけど)。

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春期限定いちごタルト事件/ネタバレ感想

春季 限定 いちご タルト 事件

【内容情報】(「BOOK」データベースより) 小鳩君と小佐内さんは、恋愛関係にも依存関係にもないが互恵関係にある高校一年生。 きょうも二人は手に手を取って清く慎ましい小市民を目指す。 それなのに、二人の前には頻繁に謎が現れる。 名探偵面などして目立ちたくないのに、なぜか謎を解く必要に迫られてしまう小鳩君は、果たしてあの小市民の星を掴み取ることができるのか?新鋭が放つライトな探偵物語、文庫書き下ろし。 【著者情報】(「BOOK」データベースより) 米沢穂信(ヨネザワホノブ) 1978年岐阜県生まれ。 2001年、『氷菓』で第5回角川学園小説大賞奨励賞(ヤングミステリー&ホラー部門)を受賞しデビュー。 青春小説としての魅力と謎解きの面白さを兼ね備えた作風で注目される(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです) 無題 購入者さん 評価 5. 00 投稿日:2006年04月21日 推理小説でもあり、青春小説でもある。 表紙に出てる二人の関係が微妙でもどかしいです。 それと、これは読者への仕掛けでもあり、読み終わってからからあっと唸るんですが、一つ一つは短編ですが、すべてを順を追って読むことによってわかる仕掛けがあるのです。 後は読んでからのお楽しみということで。 ちなみにキャラクターもとてもよく出来てるのでそこにも注目です。 それと随所に出るケーキの描写には香り、あのやわらかさ、甘美な誘惑が凝縮されてて、読み終わったらダッシュでケーキを買いに行きたくなること必死。 (自分もその口) なので昼間買いにいける時間に読み終えることをお薦めするかな。 2人が参考になったと回答• ti-sha 評価 4. 00 投稿日:2008年02月01日 はじめは、同作者の古典部シリーズと印象がちょっと似てるかなーという点が気になったのですが・・・。 これはこれで面白いと思います。 小市民を目指す小鳩くんと小佐内さんの過去に一体何があったのか、とても気になるところ。 女生徒のポシェット紛失や、3杯のココアに一本のスプーン等、身近な謎や不思議を推測に推測を重ね、理屈をこねくり回して解いていってるようなものですが、小さな手がかりをたどっていく過程の面白さは確かにあります。 科学捜査も鑑識も何もなくても、日常生活には推理を働かせる謎がいっぱいあふれているということですね。 1人が参考になったと回答.

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「春期限定いちごタルト事件」を読み直したらやっぱり面白かった

春季 限定 いちご タルト 事件

()より12月から刊行されている。 概要 [ ] 中学時代に問題事を推理したがる性格で苦い経験をした高校生・ 小鳩常悟朗と、常吾朗と似た境遇を送った同級生の 小佐内ゆきの、「」を目指すために互恵関係を結んだコンビが、平和な高校生活を求めながらも日常の中で発生した事件の謎に挑む様を描く。 主人公であり探偵役でもある小鳩常悟朗の一人称で語られるが、もう一人の主人公である小佐内ゆきの心情はにすることがシリーズを続ける方向性となっている。 作品は基本的にはいくつかの短編が組み合わさった、となっており、文庫形式で発表されている。 『』が文庫より高価な単行本として発売されたため、次作はデビュー当時のファンである中高生に手に取って貰えるようにという著者の考えにより文庫形式で『』が刊行された。 また「小市民」というフレーズはプロット検討段階では存在せず、執筆中にふと浮かび上がり定着したものであり、「元と元探偵(行動派)の話」が執筆前のコンセプトとなっている。 シリーズはもされている。 『春期限定いちごタルト事件』は饅頭屋餡子によって『』()にて2007年5月号から2009年1月号まで不定期連載された。 既刊 [ ] 2004年12月24日初版発行 シリーズ第1弾。 高校1年の春に起こった出来事を描く。 2006年4月14日初版発行 シリーズ第2弾。 高校2年の夏に起こった出来事を描く。 高校2年の秋から高校3年の秋までに起こった出来事を描く。 2020年1月30日初版発行 シリーズ第4弾。 高校1年の秋から冬に起こった出来事を描く。 既出短編3+書き下ろし1の短編集。 コミック版 [ ] 作画:饅頭屋餡子、、• 春期限定いちごタルト事件(前)2008年2月27日発売• 羊の着ぐるみ(初出:『月刊Gファンタジー』2007年5月号)• For your eyes only(初出:『月刊Gファンタジー』2007年9月号・10月号)• おいしいココアの作り方(初出:『月刊Gファンタジー』2007年12月号)• 春期限定いちごタルト事件(後)2009年2月27日発売• 小市民の休日(初出:『月刊Gファンタジー』2008年4月号、コミック版の原作書き下ろし)• はらふくるるわざ(初出:『月刊Gファンタジー』2008年8月号)• 孤狼の心(初出:『月刊Gファンタジー』2008年11月号・12月号、2009年1月号) 構成:・作画:、、• 夏期限定トロピカルパフェ事件(前)2010年8月27日発売• 〜まるで綿菓子のよう〜(初出:『月刊Gファンタジー』2010年3月号)• 狐、狼の皮をかぶる 〜シャルロットだけはぼくのもの 前編〜(初出:『月刊Gファンタジー』2010年4月号)• スイーツ戦線異常あり 〜シャルロットだけはぼくのもの 後編〜(初出:『月刊Gファンタジー』2010年5月号)• バーガー屋で会いましょう 〜シェイク・ハーフ 前編〜(初出:『月刊Gファンタジー』2010年6月号)• いわゆるひとつの堂島マジック 〜シェイク・ハーフ 後編〜(初出:『月刊Gファンタジー』2010年7月号)• 本日、休甘日 〜激辛大盛〜(初出:『月刊Gファンタジー』2010年8月号)• 夏期限定トロピカルパフェ事件(後)2011年2月26日発売• 消えた小市民 〜おいで、キャンディーをあげる 前編〜(初出:『月刊Gファンタジー』2010年9月号)• 捕らわれの狼姫 〜おいで、キャンディーをあげる 中編〜(初出:『月刊Gファンタジー』2010年10月号)• 二人の王子、見参 〜おいで、キャンディーをあげる 後編〜(初出:『月刊Gファンタジー』2010年11月号)• ぼくたちのSummer Memory 〜スイート・メモリー 前編〜(初出:『月刊Gファンタジー』2010年12月号)• ぼくたちのRapturous Memory 〜スイート・メモリー 中編〜(初出:『月刊Gファンタジー』2011年1月号)• ぼくたちのSweet-Bitter Memory 〜スイート・メモリー 後編〜(初出:『月刊Gファンタジー』2011年2月号) 主な登場人物 [ ] 小鳩 常悟朗 ( こばと じょうごろう ) 船戸高校の男子生徒。 鷹羽中学出身。 高い推理力と、自らの周りに起きた日常の謎を解きたがる性分の持ち主で、中学までは望んで「」として自ら問題事に首を突っ込み解決して注目されることに悦を感じていたが、そのことでかえって相手の反発や恨みを招き疎んじられた経験(中には「一人でこい」という趣旨のメモを寄越されたこともある)がトラウマとなり、高校では推理から離れ「小市民」としての生活を心がけようとしている。 しかし自分の意思如何に関わらずに謎に見舞われ、自身のたがが外れてしまい推理を披露してしまうことがしばしば。 自身は自らの解きたがりな性分を「狐」に例えている。 本来は柔和な優男然とし、ややシニカルでひねた一面もある性格だが、学校内では小市民として振る舞うことを心掛け、儀礼的無関心を以てクラスに溶け込めるように努めている。 その反面、人の名前を覚えられない悪癖がある。 苦手ではないものの小佐内程には甘いもの好きではないが、高2の夏に食べた洋菓子店〈ジェフベック〉のは好みの味ということもあり、いたく気に入っている。 推理法の一つとして、推理が詰めに入ったら緊張感を保ちつつも集中を解き、思考を問題の外側に向けて答えを見つけるやり方を用いている。 小佐内 ( おさない ) ゆき 船戸高校の女子生徒。 髪形は、背が低く非常に幼い外見をしている。 常悟朗とは中学3年の頃から行動を共にし、後述の本性により(少々様相が異なるようだが)常悟朗と同様の失敗を抱えているため、彼と「互恵関係」を結び共に小市民を目指している。 普段は大人しめで、人見知りしやすい控えめな女性で、彼以上に小市民の振舞いを心掛けており、時折謎を解きたがる常悟朗を白い目でみることがしばしば。 かなりの甘いもの好きで、その話題になると喜びの表情を浮かべ饒舌になり、またそれに関する知識にも精通している。 学校外では特徴的なファッションを着こなし、帽子を必ず被って「変装」している。 前述の性格の裏には甘いものと同様に「復讐」を愛し、受けた仕打ちを忘れない執念深さと、やられたら何倍にもしてやり返す本性が秘められている。 それに伴う行動力と狡猾な頭脳を有し、一度危害を加えられ復讐を決意すれば相手を奸計に嵌め、立場的、精神的にも根深いダメージを与える。 そうした様から常吾朗からは「狼」に形容されている。 堂島 健吾 ( どうじま けんご ) 船戸高校の男子生徒。 新聞部に所属し、2年時には部長を務めるが、3年時のあるきっかけを境に、受験勉強も兼ねて引退した。 常悟朗とは小学校時代の同級生の間柄だが、特別親しいわけではない腐れ縁の仲。 角刈りの顔は四角く、2年の時には体全体も四角くなった大柄な体格で膂力のある男性。 正義感と義侠心に溢れ、無骨ながらも誰に対しても正直さで向き合う裏表のない性格で、相手が困ったことになれば率先して行動する。 小学生時代の常悟朗を知り、その時は嫌な奴だと思いながらも認めていたが、別々だった中学を経て、小市民を心掛けるようになった常悟朗のことは腹に一物を抱えて性質が悪くなったと否定的に見ている。 卑怯なことは見過ごせず、女子の物を盗む輩を良く思っていない。 基本的に大雑把だが、思慮深い一面も見せる。 小佐内から評されるように常悟朗に頼み事をしたり、時には意図せずに謎を振りまく。 前述のように常悟郎とは親友と言える仲ではないが、常悟郎が頼れる唯一の人物であり、彼が助けを求めた時にはすぐさま駆けつけ、共に事件に巻き込まれている。 「友達100人」が自慢の交友関係が幅広い姉・千里がいる。 用語 [ ] 船戸 ( ふなど )高校 常悟朗達が通う公立の高校。 難関校と位置付けられているが、公立故に中学で受験者数が調整されているため、倍率は1. 2倍を超えない。 全体図は横棒の一方が右、もう一方が左にずれた片仮名のエを形どり、それぞれ北棟と南棟に分類される。 木良 ( きら )市 シリーズの舞台となる常悟朗達が住む街。 中心街は碁盤の目状に道が出来ており、十字路が多く、またメインストリートとなる「三夜通り」では夏に「三夜通り祭り」が開かれ、屋台が軒並み並ぶ。 列車は東西に走り、駅は木良駅しかなく、周辺は高架線路となっており、駅前はバスターミナルがある。 木良市のバスは市内一律210円だが、市営と運営のバスでは料金の払い方はそれぞれ先払いと後払いとなっている。 モデルはで、名前はを流れるとに因む。 春期限定いちごタルト事件 夏期限定トロピカルパフェ事件 それぞれシリーズ作品のタイトルでありながら、作中では常悟朗と小佐内の身に起きた事件の通称として用いられる。 「春期限定いちごタルト事件」は小佐内の自転車が不良グループの下っ端に盗まれたことからある犯罪が明らかとなった事件を、「夏期限定トロピカルパフェ事件」は小佐内が誘拐された事件を指す。 前者は小佐内が進んでこの呼称を用い、常悟朗も釣られてそう呼ぶようになったが、後者は常悟朗が自発的に呼んでいる。 出典 [ ].

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