ちい ちゃん は ちょっと 足り ない。 ちいちゃんパパのブログ

ちーちゃんはちょっと足りない 感想文

ちい ちゃん は ちょっと 足り ない

パパへ おたんじょうび、おめでとう! 5月18日のたんじょうびだね。 パパの誕生日にとてもりっぱな花束を作ってくれた。 「For You」というのメッセージカードの裏には、ちいちゃんからの優しいメッセージ。 ねえ、 ちいちゃん。 ぼくは、ちいちゃんのその優しさをちゃんと上手に受け止められている? ぼくはちいちゃんの良いパパで、いられているかな? でもさ、 ぼくはちいちゃんのその誕生日のおくりものが、とてもとてもうれしかった。 「ねえ、ちいちゃん」と、だからぼくは言った。 「ありがとう」 それだけじゃ、ほんとはきっととても足りないんだけれど。 rourenzo 仕事中、 ふと、思い出し笑いをしてしまった。 3年生になったちいちゃん。 まだお風呂はパパと入ってくれる。 で、 以前はちいちゃんとお風呂に入るのはほぼパパだったのだけれど。 けど去年の10月くらいのこと、ちょっと体調の悪い日が続いているなあなんて思っていたところ気がついたらパパは救急車で運ばれていて(こわ)、結局5日ほど入院してしまい、以来パパは体調をあまり信用されず、、、。 まあ、 あたりまえですね。 ということもあって、ちいちゃんとのお風呂もママとパパ、かわりばんこということになった。 それで昨日は、ちいちゃんと一緒にお風呂に入る日であいかわらずちいちゃんはお風呂のなかで空想の翼を広げる。 最近のちいちゃんのお気に入りは「」。 とくにホークという不思議なしゃべるブタさん。 あと、というのかわいい女の子。 って、 観たことのないひとには想像できないおはなしだろうけど。 「俺さまは残飯処理騎士団、団長のホークさまだ!」 こんなようなセリフをかわいい声で真似たりする。 でももちろんお風呂のなかで繰り広げられるのは単純なお話ではないわけで。 昨日はを中心とした、ちいちゃんとパパお気に入りのアニメのキャターたちが繰り広げる天下一。 ちょっと前にケーブルテレビでがずっとやっていて、以来天下一はちいちゃんお気に入りのストーリー。 で、 昨日、登場したのは、アドタイム、、、、の面々。 「おい」と、パパが演じる悟空が言います。 「オラ、びっくりしたぞ。 なんで天下一なのに、オラたちが出ないんだよ。 おっかしいだろ」 「それでは」と、悟空を無視して司会者のちいちゃん。 「これより天下一を始めます」 「おい」と、悟空。 「ちょっと待てよ」 「一回戦は」と、ちいちゃん。 「チーム、ブーブー(ぼくは勝手にホークのことをブーブーと呼んでいる)VSアドタイムチーム、ジェイク」 「えー」と、悟空。 そして試合開始。 ブーブーはちいちゃんが演じて、ジェイクをぼくが演じる。 「俺さまは残飯処理騎士団、団長ホークさまだ。 へんてこな黄色い犬なんかには負けないぞ」 「なんだとー。 俺さまだっておまえみたいなへんてこなブタには負けないぞ」 で、 そんな言い争いが続いて試合が始まらないので、審判のパパが「そこまで。 いつまでも試合が始まらないので、両者失格」 なんてことを言ったものだから、ちいちゃんは怒ってしまって。 「ずるいよ、パパ」と、ちいちゃん。 「パパが試合開始って言わないからいけないんだよ」 湯船のなかで、ちいちゃんは頬を膨らませて猛抗議。 そのムキになった表情があまりにかわいかったから、なんて言ったらちいちゃんはきっともっと怒ったかもしれないけれど、そんな表情を不意に思い出して、仕事中なのに、ぼくは思い出し笑いをしてしまったのだ。 なんか、 あいかわらずへんてこな毎日だ。 へんてこで幸せで、愛しい毎日。 こんな日がどうか、ずっと続きますように。 rourenzo 「今度の土曜日、デートなんだ」と、ちょっと誇らしげに会社の事務員さんにぼくが言うと、事務員さんはやれやれといった感じでちいちゃんとですか、と答えた。 事務員さんは会社の納涼祭にも来たことのあるちいちゃんのことをよく知っている。 「それがね」と、さらにぼくは言った。 「違うんだな、14歳の女の子」 そこで事務員さんもちょっとだけ驚いた表情をした。 ほぼちいちゃんのお話ししかしないぼくだからびっくりしてもらわないとぼくだって面白くない。 「まあ」と、ぼくは続けた。 「めいっこだけどね。 めいっこの14歳の誕生日で、プレゼントを一緒に選ぼうってことになって」 やっぱりね、という感じでぼくを見た事務員さんも続けた。 「けど、係長。 大丈夫ですか? 14歳の女の子と話が合うんですか」 「大丈夫だよ」かなり心配してくれている事務員さんにぼくは言った。 「ちいちゃんも嫁も、ばあばも来るしね。 ていうか、ばあばがちいちゃんを誘ってくれたんだけれどね」 それで事務員さんはやれやれといった感じで今度はため息を吐いた。 「係長て、デートの意味ちゃんと分かってます?」 そりゃ、 分かってるよ。 それはぼくなりの冗談なんだけど、ぼくの冗談っていつもなかなか通じない。 *** で、 デート。 待ち合わせ場所に、ばあばと一緒に来たきょうちゃんが手を振った。 今年のお正月はタイミングが合わなくて会えなかったから、2年ぶりくらいに会ったきょうちゃんはとても大きくなっていてびっくりした。 きょうちゃんはきょうちゃんで、ちいちゃんおっきくなったねえと笑った。 ちいちゃんはちょっと照れながら、なんだかもごもごとありがとうと答えた。 「きょうちゃんこそ」と、ぼくは言った。 「おっきくなって、もうきょうちゃんじゃなくて、きょうこさんだね」 「ぜんぜん、きょうちゃんでいいですよ」と、照れながら答えるきょうちゃんを見て、数年前のきょうちゃんとちいちゃんの後ろ姿を思い出した。 まだ幼稚園の年中くらいだったちいちゃんが手をつなごうって言ってつながったふたりの後ろ姿を、ぼくはいまでもよく覚えている。 お正月のよく晴れた空と張りつめた冷たい光のなかを歩いた川べりの道。 あのとき、このつながりをたいせつにしなくちゃいけないなって思ったのに、ぼくはその機会をほとんど作ってあげられなかった。 それでもふたりは笑っている。 どこにいこうか、もう目的のお店にいってしまっていいの? それじゃあ、そうしよう。 そんな会話のあと、さっそく手をつないで歩き出した。 きょうちゃんが選んだ目的のお店はという、おおよそぼくのようなひとには縁が無さそうな中高生にぴったりな感じの洋服がいっぱいのお店。 なにがびっくりかというと店員さんのスカートが短すぎて、うーん、これでいいんだろうかって思ってしまった自分。 もちろんそんなこと口にはしなかったけれど、いつかちいちゃんがこんなスカートを着るようになったらと思うとちょっと複雑な心境になってしまった。 けどまあ、きょうちゃんは短いスカートじゃなかったし。 きっと大丈夫。 何が大丈夫かよく分からないけど、というかそんなことまで口出ししちゃいけないですね。 「パパもやっぱり中高生のころはこんなお店に来たの」そんなことを考えていたぼくに、ばあばはそんなことを聞いたので、いやーとぼくは笑いながら答えた。 「ほら、ぼくはこんなだから、そのころからあんまり洋服とか興味なくて」 「そうなの」と、ばあばは言った。 「やっぱり男の子ってそうなのね。 うちのおにいちゃんもあんまり興味がなかったから」 でももったいないねと、ばあばは続けた。 「パパはかっこいいのに」 「んー」と、ぼくは苦笑しながら答えた。 「ぼくのことをかっこいいって言ってくれるのは、ちいちゃんとばあばだけですよ」 「えー」と、そんな会話を聞いたきょうちゃんがそこで会話に加わってくれた。 「わたしもちいちゃんパパ、かっこいいに一票」 「うわ」と、ぼくは言った。 「なんと、かっこいいって言ってくれるひとがひとり増えてしまった」 で、 みんなで妻を見ると、妻はそっぽを向いてしまった。 ナイスな反応。 けど、ぼくはそれが本音だって知ってるぞ。 けどみんな、なんか気を使ってもらってありがとう。 みんなやさしいね。 毎年、きょうちゃんは誕生日にばあばとこんなふうに洋服を選んでプレゼントしてもらっているそうなんだけれど、ぼくたち夫婦はこれまではプレゼントをおにいさんを通して渡してもらっていた。 けど、去年。 そんなふうにばあばとふたりでプレゼントを選んでいることを知ったちいちゃんが、わたしも行きたいと言って泣き出したらしくて、だから今年はばあばがちいちゃんも誘ってくれて、それならぼくたちも一緒に行ってプレゼントを選んでもらっていいかどうかきょうちゃんに聞くと、きょうちゃんは快くオーケーしてくれた。 ばあばからきょうちゃんは洋服を選ぶのにものすごく時間がかかると聞いていたからちょっと覚悟して行ったのだけれど、気を使わせてしまったのかそんなこともなくごく短時間できょうちゃんは洋服を選んだ。 「ちいちゃんにね」と、きょうちゃんは言ってくれた。 「今日は選んで欲しいんだよね」 もちろんちいちゃんはまだ小学2年生だから、中学2年生の女の子の服を選ぶのは難しいので大まかなイメージを伝えてから選んでもらったみたいだけれど、そんなふうに言ってくれるのはとてもうれしいことで、きょうちゃんはとっても素敵な成長をしているなあって思った。 ちいちゃんはちいちゃんで、きょうちゃんに会えることが決まってから「きょうちゃんの洋服をデザインしてあげるの」と言って、一生懸命に絵を描いていた。 数年前、まだ小さすぎてあまり成り立っていなかった会話も、いつのまにかずいぶんといい話し相手になっている。 きょうちゃんもちいちゃんもひとりっ子だから、いつかふたりが悩みを語り合えるようなそんなふたりになれたならいいなと、そんなことをふたりを見ながら思った。 「ちいちゃんパパには、これをお願いします」 そう言ってきょうちゃんが選んだのは控えめな銀色のウトポーチみたいなバッグだった。 ばあばからはシンプルな黒いジャケットをプレゼントしてもらうことにしたみたいで、ぼくたちからはそのバッグということになった。 どうやらきょうちゃんはけっこうシンプルなものが好みみたいだ。 「それじゃさ」と、ぼくはきょうちゃんに言った。 きょうちゃんたちが選んでいるあいだにぼくもちょっと見てまわってきょうちゃんとちいちゃんにおそろいで買ってあげたいものを見つけていた。 「このなかからさ、きょうちゃんとちいちゃんでおそろいのものを選んでくれないかな」 レジの近くによく置いてあるような安価なメッキもののネックレスで、ちいちゃんはきょうちゃんとおそろいのものを持っていたら喜ぶんじゃないかと思ってお願いした。 きょうちゃんには物足りないものかもしれないけど、でもきょうちゃんは嫌な顔もせず選んでくれた。 ちいちゃんが好きそうな星形のネックレス。 色違いで選んでくれた。 銀色がきょーちゃんで、金色がちいちゃん。 それからは、食事をして(ばあばにごちそうしてもらってしまった)、少しゲームセンターに行ってクレーンゲームをして、別れ際にちいちゃんはきょうちゃんのために描いた絵を渡していた。 「ありがとう」と、きょうちゃんが言った。 「うまく描けなくてごめんね」と、ちいちゃんが言った。 するときょうちゃんはちいちゃんをぎゅっと抱きしめて、大丈夫だよって言った。 次に、 ふたりが会えるとしたら来年のお正月だろうか。 できるなら来年はうまくタイミングを合わせてきょうちゃんとちいちゃんが会えるようにしてあげられたならいいなと思う。 またふたりが、川べりの道を手をつないで歩く後ろ姿を見られたならいいなってそんなことを思った。 rourenzo 午前4時。 ここのところ4時半には起きて、朝の仕度をする。 いつからか妻がときどき腕が痺れるというようになって、以来なるべく負担を減らすように洗濯物も干してから会社に行くようにしているから自然ちょっと早く起きるようになった。 病院に通っても妻の症状の原因は結局分からなくて、いまは頻繁に症状が出ているわけではないけれど、それが習慣になってしばらく経つ。 といってもちろん外に出して干しておくことはできないから、室内用の物干しに洗濯物を干しておいてあとは外に出すだけという状態にしておく。 雨の日は除湿機をかけておく。 だからいつもより少し早く起きた今日は朝の支度を始めるまでまだ少し時間があって、なんとはなしに文章を書いている。 そんな気分になったのは多分今日がちいちゃんの運動会だからだ。 運動会はほんとは先週の土曜日に行われるはずだったけれど、台風の影響で延期になって今日になった。 土曜日ならパパでも観に行けた運動会も、平日となるとなかなかそうもいかない。 そうもいかないこともないのかもしれないけれど、月初めに仕事を抜けるというのはそれなりに大変だったりもするわけで。 結局ぼくは休みも外出も、届けは出さなかった。 「えー、嫌だよ」と、昨日一緒に入ったお風呂で運動会には行けないことを伝えると、ちいちゃんはそう言ってくれた。 「淋しいよ」 もう、 それだけでぼくは十分。 もちろん、運動会でがんばるちいちゃんの姿を見ることができないことは淋しいけれど、でもちいちゃんも淋しいって言ってくれたから。 「ごめんね、ちいちゃん」と、ぼくは言った。 「パパもさ、行けなくてすごく淋しいよ」 きっと、もっとしっかりしたパパならちゃんと時間を作って、平日だって運動会を観に行けるのだろう。 でもぼくは仕事の量だけじゃなくからみついたいろいろなしがらみを断ち切れずに、ちいちゃんにごめんねと言うことしかできない。 「それじゃさ」と、ちいちゃんが言った。 「明日、パパが帰ってきたらスティッチを踊るよ」 今年、ちいちゃんたちはみんなでスティッチの曲に合わせてダンスを踊る。 もうずいぶんと前からちいちゃんは歌いながらダンスの練習をしていて、ぼくはそのキュートなダンスを観ることをとてもとても楽しみにしていた。 「前から思ってたけど」と、ぼくは言った。 「ちいちゃんてさ、すごくやさしいよね」 「なにそれ」と、ちいちゃんは言った。 「親バカ?」 「ちがうよ」と、ぼくは言った。 「すごくさ、パパは幸せだなあって思ったってこと。 それだけ」 あと1時間もすれば外も明るくなりだすだろうか。 天気予報によれば今日は運動会日和らしい。 ぼくは銀行に行かなければいけないから、外回りのあいだちょっと空を見上げて想像してみよう。 きっと想像のなかで一生懸命なちいちゃんの姿が見えるはずで、だからちょっと離れた場所からだけれど、ぼくも一生懸命応援しようかと思う。 「がんばれ」 って、心のなかで呟いてみよう。 ちいちゃんの、素敵な思い出になるように空にそっとお願いしてみようと思う。 rourenzo 大分、涼しくなってきたので、ここのところちいちゃんは自転車の練習に励んでいる。 といっても最近ぼくが休日も出勤になることが多いので週に1回、それほど長くもない短い時間だけど。 補助輪を取ったのが去年の年末頃で、それからちょっとずつ練習はしていたのだけれど、パパの教え方が上手くないのか、ちいちゃんの苦手意識が強すぎるのか、なかなか上達しないでいた。 けどここのところなんだかとてもいい調子で、もちろんぼくが自転車を支えたままだけれどちいちゃんの漕ぐ自転車がずいぶんと安定してきた。 右足で蹴りはじめて左足をペダルに載せる動作もスムーズになってきて、苦手だった漕ぎ出しもマスターしつつあるみたい。 漕いでるあいだ、このまま手離しちゃっても大丈夫なんじゃないかななんて思ったりもするんだけれど、そんなぼくの気持ちが伝わるのか、前を向いたまま漕ぎ続けながら、「パパ、絶対離しちゃダメだからね」と、ちいちゃんは言った。 でもさ、 ちいちゃん。 きみはもう大丈夫。 苦手だった自転車もじきにできるようになって、それはなんだかぼくにはまぶしいくらいに素敵なことだなって思う。 *** ごっこ遊びをしているときのちいちゃんは、ぐるぐるいろんな表情を見せてくれて面白い。 歌を歌い出したり、踊り出したり。 最近、特にすごいなあと思っているのは、キャターの声で、ちょっとした声優さんばりにいろいろなキャターを演じ分ける。 「ちいちゃんてさ」と、ぼくは言ってみたことがある。 「声優さんとかになったらいいかもね。 なかなかそんなにいろいろな声、出せないよ」 「そうかな」と、ちいちゃんは言った。 「でもさ、パパもなかなかのものだと思うよ」 「もそうだし」と、ちいちゃんは続けた。 「、パトレンジャー、、アドタイム、ミッキー、人形遊びのときさ、なんでもやってくれるもんね。 わたしがね、好きなのはね、怒ったドナルドと、あとかっこつけすぎなピッツァ・スティーブかな。 あんまり似てないけど」 あんまり似てないけど、と言われるとあんまりうれしくないけれど、というかぼくはどれだけごっこ遊びに付き合ってるんだろう。 でも多分ちいちゃんは褒め言葉として言っているから、素直にありがとう、とぼくは言った。 「でもね」と、ぼくは続けた。 「そういうのとちょっと違うんだ。 パパはちいちゃんが喜びそうな話し方は分かってるからさ。 ちいちゃんに面白いって思ってもらえるような話し方はできるんだけど、みんなが面白いって思ってくれるわけじゃない。 けど、ちいちゃんのはさ。 それとは違ってね。 なんか素敵なんだよね、似ているっていうんじゃなくてオリジナルでそんな声のキャターでもいいんじゃないかって思わされちゃうんだ」 ぼくは小学2年生の女の子相手になんて理屈っぽい話をしているんだろう。 でもちいちゃんはおおまか分かってくれたみたいで、ありがとうと言った。 「でも、わたしの夢はデザイナーなんだけどね」と、ちいちゃんは言った。 「素敵なドレスとか好きだし」 「そうだよね」と、ぼくは言った。 「知ってる。 ひとりの時、よくノートにドレスの絵を描いてるもんね」 「あんまりうまくないけど」 「そんなことないと思うよ」と、ぼくは言った。 「すごく上手に描けてる」 「親バカだなあ」と、ちいちゃんは笑った。 そしてぼくを見て言った。 「パパはさ、夢はなんなの」 なんだかそんなことを聞かれるとちょっと戸惑ってしまう。 いまこの歳になって夢っていったいなんなんだろう。 家族を幸せにしたいし、まあ、仕事もがんばりたい。 誰かの役に立ちたいし、助けてあげたいとも思う。 でもそれって夢とは言わないと思うし。 「なんだろうなあ」と、ぼくはしばらく考えて呟いた。 するとちいちゃんはなんだかいたずらっぽく笑いながらパパはさ、あれだよねと言った。 「パパはさ、あれだよね。 」 「?」 「そうになるのが夢でしょ」 ぼくは思わず笑ってしまった。 「それっての一員になるってこと?」 「うん」 ぼくはなんだか、多分ほんとうに久しぶりに大きな声で笑ってしまった。 「いや、それほんと叶ったらうれしいかも」 「でしょ」と、ちいちゃん。 「けどさ」と、ぼくは続けた。 「パパってさ、音痴だし、楽器もできないよ。 それでになれるかな」 「大丈夫だよ」と、ちいちゃんは言った。 「エレクトーンはわたしが教えてあげられるし、そうだ。 ピアノはママが教えてあげられるよ」 「うわ」と、ぼくは言った。 「それはとてもうれしいけど、果てしなく遠い道のりだね」 「大丈夫だよ」と、ちいちゃんは自信満々に言った。 「信じていればできないことはないって、いつもパパ言ってるし」 まあ、 たしかにね。 *** それはただの笑い話だけれど、そんなことがあってから少しぼくも考えるようになった。 ぼくはもう40過ぎのおじさんだし、誰かに誇れる特技もないけれど、でもぼくだってもっと真摯に何かを追い求めるべきなのかもしれない。 醒めない。 ぼくにはいままでそういう出会いがなかったと思ってきた。 でもほんとはぼくが追い求めなかっただけなのかもしれない。 どちらにしても手の届かないものかもしれないけれど、でもだからって別に諦めることなんてなかったのだ。 40過ぎのおじさんもまだ、できないことができるようになることだってあるかもしれない。 ぼくが、また小説を読むようになったのはそんなことがあってからで、いつかまた機会があったらちいちゃんに言ってみようと思っている。 パパの夢はね、小説家になることなんだ。 rourenzo ここのところずっと、小説を読んでいる。 といっても、普段の生活は変わることもないからそれまでを見て過ごしていた早朝のひとときや会社での昼休みを読書の時間にしたというだけなのだけれど。 だからそんなにたくさんの本を読んだというわけでもなくて、ただそれでもここ数ヶ月で数冊の本を読むことができた。 それで何かが変わるというわけではもちろんないけれど、ちょっとした心境の変化はあったりもする。 代わり映えのしない時間を過ごしているとそんなつもりはなくても心は硬くこわばって感じることを止めてしまう。 気付かずにいればそれはそれで何事もなく流れてしまうものだけど。 その本はとても素敵な本だった。 といってもまだ半分くらいしか読み終えていないから、おそらく。 多分、そのひとの最初の小説を僕はずいぶんと昔に読んだことがある。 僕の大好きな人が帯にコメントを書いていて、それに興味を惹かれて手に取ったのだ。 でもその小説を僕は余り覚えていない。 確か一日に一組だけお客を迎える食堂の話。 だからその後、僕がそのひとの本を読むことはなかったのだけれど、なんとなく静かで背筋のピンと伸びるような小説が読みたいと思っていたところに、その文庫本のやさしげなそれでいてどこか凛とした装丁を見つけて自然と手が伸びた。 それがそのひとの小説だというのは、後で気が付いた。 キラキラ それはバーバラ婦人が教えてくれた秘密のおまじない。 「心の中で、キラキラ、って言うの。 目を閉じて、キラキラ、キラキラ、ってそれだけでいいの。 そうするとね、心の暗闇にどんどん星が増えて、きれいな星空が広がるの」 読み終えてしまうのが淋しいなんて思うのは久しぶりで、でももちろん早く先が読みたい。 でドラマ化されていたということも後で知ったことだけれど、どこか世捨て人めいた生活を送っている僕はもちろん結末を知らないからいま読書の幸せを楽しんでいる。 目を閉じて、キラキラと呟いてみる。 キラキラ、キラキラ、呟くたび暗闇に星空が広がって不思議と心の中の不安が消えていく。 そうか、 けっこう不安だったんだな。 といってそれは別に特別なことではなくてきっとみんな多かれ少なかれ不安を抱えている。 別に小説を読んでいなくとも、それはいずれ気付くことだったかもしれないけれど、そんな小さな変化で心が軽くなることも確かにあるのだとそんなことをちょっと思った。 rourenzo 先週末、帰りがけにドラッグストアに寄るとの割引券があるのに気がついた。 ん、 これはダメな思いつきだぞ、と思いつつ一枚もらってきてしまった。 今週末は社員旅行でぼくは土日と不在。 それでなくともここのところ土日どちらかは仕事ということが多くて先週末は久しぶりに土日ともお休みの貴重な週末だった。 だからちいちゃんをどこかちょっとしたところに連れて行ってあげたいなあと思っていたのだけれど、これがなかなか思いつかない。 そんなとこだったのでドラッグストアでサンリオの割引券を見つけて、「そうだ、に行こう」とぼくは思ったのだった。 ほんとうはもっとなんか夏らしいところで、夏らしい経験をさせてあげたいと思うのだけれどいかんせん、ぼくがもともとその方面が不得手なうえに、ちいちゃんもどちらかといえばアウトドアが苦手な女の子。 「まあ、こんなに暑い夏は室内で遊べるとこがいいよね」と自分で自分に言い訳をして家路に着いた。 で、 「明日はさ」と、ぼくは帰ってすぐに言った。 「に行こうか」 「ほんと!」と、ちいちゃんは目を輝かせた。 思っていた以上にうれしそうに。 あー、 と、ぼくは思った。 安易な思いつきなんだ、ちいちゃん。 ぜんぜんたいしたこと思い浮かばなくて次善の策だったのさ。 それでもきみがそんなによろこんでくれるなら。 「明日は楽しい一日にしようね」と、ぼくは言った。 *** 夕食の後で食器を洗っていると、 「ねえ、パパ」と、ちいちゃんは言った。 「あそぼ!」 「んー、明日はちょっと早いしさ」と、ぼくは言った。 「先に洗い物させて。 で、ママがお風呂出たらすぐ入って寝なきゃ」 「えー」と、ちいちゃん。 「昨日もそんなこと言って遊んでくれなかったよ」 まあ、確かにここのところ帰りも遅かったからそんな日が多かったかもしれない。 明日は休みだし、おでかけと言ってもはそれほど遠いわけでもないし、だから今日は洗い物は後回しにしてちいちゃんが寝てからすることにしようと思って、オーケーとぼくは言った。 「それじゃママがお風呂から出るまで遊ぼう」 「うん」と、ちいちゃんうれしそうに言った。 「それじゃお布団の部屋で待ち合わせね」 「はい」と、ぼくは言った。 最近のちいちゃんのお気に入りは、と。 それからケーブルテレビでやっているというアニメ(けっこう昔のアニメらしい)。 それと。 もケーブルテレビでやってるアニメ。 で、 これらのアニメがいろいろ絡み合ってうちにあるたくさんのやの人形で始まるのがごっこ遊び。 たとえばの人形たちになったぼくが言う。 「きょうは何の劇をやる?」 「きょうは」 「それじゃ配役を決めなくちゃ」 「ちょっとなんであなたが仕切ってるの。 まずはリーダーを決めなくちゃ」 みたよな感じで人形を使って劇をするみたいに、ちいちゃんとパパで物語を作っていったりするのだけれど、その日ちいちゃんはの気分。 というのもパパがクレジットカードで貯まったポイントを使っての新しいキャターの人形をふたつ頼んでいてそれが数日前に届いていたから。 キュアアムールとキュア。 最近、登場した新しいキャター。 ん、か判然としないけど、きょうはこのふたりが主役の物語。 「ねえ」と、ぼくは言った。 「こっちの小っちゃい子って頭おっきいよね。 一番年下なのにね」 プリコーデドールという人形なんだけど、これ髪の毛や服が取外しできて、普通の中学生の姿になったり、に変身できたりするなかなか優れものの人形。 で、 この新しいふたりの人形はなんだか髪の毛がほかのキャターの髪の毛より分厚い感じがぼくにはして、なので頭おっきいねという表現になったのだけれど、 「あー」と、ちいちゃんは言った。 「パパ、いまひどいこと言ったよ。 女の子にそんなこと言ったらダメなんだよ」 「いやいや」と、ぼく。 「そんなつもりはないって。 ほら、これ人形だしさ」 たじたじのぼくは話題を変えようと思って、「こっちの小っちゃい子っていくつくらいかな。 ちいちゃんと同じくらいの小学生かな」 と、ちいちゃん。 「わたしも知らないよ。 まあ、わたしは2年生だけどね」 いや、 なんかぼくは笑ってしまった。 ねえ、ちいちゃん。 さすがにぼくもちいちゃんのパパですから、ちいちゃんの年齢と学年はさ、知ってるんだ。 rourenzo.

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『ちーちゃんはちょっと足りない』雑感

ちい ちゃん は ちょっと 足り ない

あらすじ [ ] 成績、お金、恋人、友達、いつも何かが足りない気がする中学2年生女子のちーちゃんとナツ。 2人はクラスの中で成績優秀な友達・旭や、学級委員に助けられながらも、普通の日々を送っていた。 そんなある日、ナツとちーちゃんは学校帰りに寄ったお店で、クラスの目立つグループの女子・藤岡から「万引きしねえ?」と声をかけられる。 ナツはその場を上手くしのいだが、お金が足りずに買えなかった可愛いリボンが忘れられずにいた。 後日、教室で女子バスケ部員が顧問の誕生日プレゼントを買うために、部員である藤岡から集金をしていた。 その様子を目撃した旭は、「学校でお金のやり取りは危ない」と注意をしたが、部員達に煙たがられる。 そして放課後、事件は起きた。 同学年の子達と比べると体が小さく(特に足が極端に小さく、靴のサイズは18センチ以下)、行動も幼い女の子。 母と姉と団地で暮らしている。 勉強が苦手で九九は最近覚えたが、割り算が出来ない。 社会のテストは100点満点中23点。 だがクラスメイトによる勉強の助けもあり、全教科の成績は上がってきている。 ナツとは小学校からの幼馴染、旭とは中学校から仲良くなった。 「ちょっと足りない」ながらも周囲の支えもあり上手くやっていたが、物語中盤で彼女が悪気無く起こしてしまったある事件をきっかけに、様々なことが変わってしまう。 小林 ナツ 千恵の幼馴染で、彼女と同じ団地に住んでいる。 優しい性格だが学校の成績は千恵程では無いもののあまり良くない。 内向的で気が弱く、時として空気が読めず、自己主張が足りないため、気のおけない友人は千恵と旭しかいない。 本心では自分より裕福で成績が良く恋人もいる旭や他の人物に対して強いコンプレックスを抱いているが、自身を変える努力などはしていない。 また、気弱な性格が災いして、ある事件で千恵が同級生たちに疑われている時に、旭が激怒したのとは対照的に、自分は何の行動も取ろうとしないなど、やや自己保身の強い一面があり、この欠点が原因で最終的に破滅への道を進んでしまう。 千恵と同じく自分を「足りない」存在だと自覚している。 旭(あさひ) 千恵とナツの友人。 二人とは異なって、一軒家で裕福な家庭に育ち、成績も優秀。 サッカー部でエースをしている彼氏がいるが、千恵とナツには隠している。 口下手で無愛想な振る舞いから、冷たそうな印象を与えてしまうため友人は少ないが、千恵が悪いことをした際には本気で叱り、彼女のために他の同級生たちに涙を浮かべて謝罪するなど、ナツよりも思いやりのある一面を持ち合わせている。 そのおかげでクラスメイトたちに本当の自分を知ってもらったことで和解し、結果的に友人も増えたものの、このことをめぐる行き違いがきっかけで最終的にはナツとの関係が破綻してしまう。 南山志恵(みなみやま しえ) 千恵の姉で高校2年生。 妹とは対照的に聡明で落ち着きがある。 バイトで忙しいが家計に負担をかけたくないため、国公立大学を目指して深夜まで勉学に励んでいる努力家。 妹想いで自らのバイト代から捻出してでも妹の欲しい靴を買ってあげている。 想い人がいたがその人には彼女がいたため、失恋してしまう。 普段から妹にかまってくれているナツの優しさに感謝しており、妹に「ナッちゃんに恩返ししなきゃね」と何気ない一言をもらしたことで、後にある事件のきっかけになってしまう。 藤岡(ふじおか) 千恵の同級生。 同年代の女の子と比べて身長やスタイルなどが大人びている。 服装、態度、行動等、典型的な「不良娘」という印象であり、ナツはその態度から、ちーちゃんは見た目から、彼女を苦手としている。 ある日、彼女が所属する女子バスケットボール部の顧問にプレゼントを渡す計画が持ち上がるが、そこから思いもよらぬ事件が発生してしまう。 結果的に千恵からの謝罪を受けて彼女を許したことで旭と友人になるが、ナツがこの出来事を知らなかったために最終的に彼女と旭の関係が気まずくなる遠因となってしまう。 宮沢(みやざわ)、野村(のむら) 千恵の同級生で、女子バスケットボール部員。 いつも藤岡とつるんで遊んでいる。 宮沢は旭のことを(つっけんどんな性格から)快く思っていない。 奥島(おくじま) 千恵のクラスの委員長。 成績優秀な男子で、千恵にも優しく接するが、いつも名前を「オグジマ」と間違えられている。 如月(きさらぎ) 千恵のクラスの副委員長。 奥島と仲が良い。 書誌情報 [ ]• 阿部共実 『ちーちゃんはちょっと足りない』 秋田書店〈〉、全1巻• 2014年5月20日初版発行(同年5月8日発売) 出典 [ ]• ジャパンデザインネット 2015年1月22日. 2015年8月18日閲覧。 ねとらぼ ITmedia 2014年12月10日. 2015年8月18日閲覧。 を用いて検査すれば60前後と判定されるものとみられる。 外部リンク [ ]• - コミックス第1話の試し読みが可能.

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心が痛くなる日常『ちーちゃんはちょっと足りない』<漫画>感想レビュー|深淵のサルベージ~アニメ・漫画・映画をとことん楽しむブログ~

ちい ちゃん は ちょっと 足り ない

ちーちゃんこと千恵と、ナツ、旭(あさひ)は、女子中学生3人組。 千恵とナツは同じ団地に住んでいる。 序盤はアッパーでアホな千恵のキャラクタで物語が引っ張られる。 相変わらずギャグ作家としての言葉選びもキレキレ。 いくつか切り取ってみる。 「つっこみどころが多すぎて どこから入刀しようか迷うな」p23 「史恵ちゃん!大衆の面前でカウンターで合わせるのは酷だよ!」p74 「違った!こいつは勝利の咆哮だ〜ッ 思わず歓喜が体から漏れだしたダンスダンスダンス!」p80 「もうちーちゃん おはしが武闘派シーフのダガーナイフの持ち方みたいになってる!」p145 たまらん。 阿部共実の天才性は言葉選びも去ることながら、キラキラした希望も仄暗い絶望も変幻自在に描き分けられる点にある。 今回も3話まではコメディ。 4話で話が動き出す。 ナツ「奥島くんも如月さんも旭ちゃんも頭良いし教え方上手で優しいし しかもみんな恋人いるし 私なんか私なんか」 カバーを飾るのはポップな千恵だが、中盤以降実質的な主人公はナツに切り替わる。 ナツは思う。 「私とちーちゃんはなんでいつも一緒にいるんだろう」。 小学生の頃を思い出す。 「図書館の本を処分するので欲しい人は1人1冊持って帰りなさい」と先生。 『ふしぎの国のアリス』が欲しいナツ。 しかしみんなに人気のタイトルの為、大人しいナツは貰えそうにない。 そんな中、千恵がむりやり本をとって来てナツに渡す。 「なんで?」とナツ。 千恵は答える。 「いっしょだから!だんち」 話は現在に戻り、千恵と一緒に坂を上って景色を見た時、ナツは思う。 「なんか別にどうでもいっか なんだかこの町もこの生活も大して悪くないのかも」 「なんだか私たちって 今一瞬だけ世界で一番美しい2人だったかも」 ここで終わればハッピーエンド。 キラキラを描く方の阿部共実なのだけど、物語の世界観はここから急転する。 「みんな知ってるんだ 私のお母さんそんなこと教えてくれなかったな 底辺だ バカで貧乏な私は品性まで欠けてて親の差まである どうしもようないな」 終盤、千恵はナツを喜ばそうと、犯罪に近い行為に手を染める。 それを咎め、一緒に謝りに行く旭。 千恵と旭、謝った相手の間には友情が生まれ、一つの成長が描かれる。 そんな中、ナツは蚊帳の外。 「何も手に入らなかった 残ったのは惨めさと罪悪感だけだ」 「ずっと思ってたよ 本当は私みたいなつまらない人間なんかと一緒にいたくなかったんだよね旭ちゃん」 最終話。 旭との関係は遠のいてしまったが、千恵とナツの友情は続く。 だけど千恵の成長が描かれる中で、ナツは成長を拒否する。 「私たち ずっと友達だよね」 「うん」 アホだけど成長する千恵と、変われないナツ。 友情を描いてはいるけど、いつかナツは千恵に置いていかれる。 別れが来る。 …なんつー読後感か。 初の長編一冊の中でも、希望と絶望、どっちも描き切った。 成長する表の主人公と、成長を拒否する陰の主人公。 ラストシーンで微笑み合う2人のコントラストがやばい。 好みは別れるんだろうけど、俺はこんな文章描いてしまうくらいには好きな作品だった。 阿部共実の才能は凄いわ。 Web上で初期の短編が読めるので、合うかどうかのテスターにいいかも。 阿部共実について他の記事はこちら。 「おすすめの漫画ベスト100をランキング形式で紹介する」という記事を書きました。 よかったらこちらも。 hitujyuhin.

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